星と自転車

MENU
スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

本・音楽・映画など

北原照久の超驚愕現代アート展

 昨日、北原照久の超驚愕現代アート展を観に、六本木ヒルズまで行ってきました。
 雨にもかかわらず行ったのは、キネトスコープ・オートマタと呼ばれる、“自動からくり人形箱”の作家、武藤政彦さんがトークゲストとして来場することを知っていたからです。

 北原さんがコレクションした、さまざまなジャンルの、たくさんの作家の作品が展示されていましたが、この展覧会でのわたしのいちばんのお目当ては、なんといっても、武藤雅彦さんと鴨沢祐二さんなのでした。
 
 おふたりの作品に初めて出遭ってから、もう20年以上もの歳月が…。というと、ほぼ歳がバレますが。(爆) どちらの場合ももう最初のきっかけは忘れてしまいましたけれど、わたしが“自分で見つけた”作家、という共通項で繋がっています。そのどちらにも北原さんが“関与”してた、ってことは、ちょっと不思議?な気もしますね。

 いまだったらたくさんヒットするのでしょうけれど、わたしがパソコンを始めたころ、検索にかけてもほとんどヒットしなかった、という記憶があります。(そのころはまだgoogleもなかったしね)
 そんな作家たちを支援し、また世の中に知らしめようと、活動されていたのが北原さんだった、ということは間違いのないところかもしれません。

 「琴線に触れた」という言葉をトークのなかで何度も繰り返して使われていた北原さんですが、まさに琴線に触れた作品と出遭ってわたしもン十年。その意味では、まさに“幸福なン十年”と言ってもいいのでしょう。

 武藤さんにお遭いするのはこれで何度目かな。去年も八王子美術館の展覧会に行きましたし。
 いちばん最初に行ったのは、渋谷パルコのこじんまりとした会場だったかなぁ? 作品も、ひとつの箱を2~3人で囲んだら一杯になってしまうような、こじんまりとしたものが多くて。それがまた良かったのですけれどね。

 すべて電気仕掛けなのですが、音楽を使うようになった最初のころはテープ式のウォークマンをボタンで押し込むような、かなりアナログな方式だったそうです。
 最近流行りのLEDは調光がしづらく、メンテナンスも難しいとのことです。

 展示のなかにあった「摩天楼(Skyscrapers)という作品。むか~し日産グループのCMに使われていたヤツだよねと思ったら、北原さんがちょうどその話をされて。あぁ、わたし、ちゃ~んと覚えていたじゃない♪と嬉しくなったり。

 ひとつひとつの箱がそれぞれ物語を持っていて、武藤さんの語り口上も素晴らしく。すうっと物語世界に引き込まれてしまいます。この日は、もう15年も口上してないけれど、という作品まで上演してくださいました。

 コレクションした武藤さんの作品を北原さんはご自分の事務所にずらりと並べていらっしゃるとか。(会場にはその大きな写真が) むろん武藤さんの口上はありませんから、北原さんご自身がゲストに向かって口上を述べ。武藤さんとはいくぶんストーリーが違っていたりもするそうですが。それはそれで楽しそうです。

 これは暗闇のなかで実際に観てみなければ、どんなにステキかは伝わらないかもしれないんですけどね。
 いろいろな方がそれを観ては感動の涙を流された、というお話。誰が観に来たかという報告を、北原さんはそのたびいちいち武藤さんに電話でするそうですが。
 「あのデミ・ムーアがですよ」「あの王貞治さんがですよ」とお話しされる北原さんの、60代とは思えない少年のような笑顔。ほんとにムットーニ作品がお好きなんだろうなぁ。でもわかります。それだけの虜になってしまうワケは。

 ほかにも、友人のユミ・シャローさんを慰めるために、北原さんが武藤さんに作ってもらったからくり箱のお話や、ブルーノート青山で泣き出した赤ちゃんを子守唄を歌ってなだめたサラ・ボーンの逸話(これは「なんでも鑑定団」の中島誠之助さんからのお話だったけ?)や…うん、どれもいいお話でしたね。

 鴨沢祐二さんのコーナーもかなり大きなスペースをとってありました。そこへ足を踏み入れたとたん、もう…あぁ、胸が一杯に。
 クシー君、逢いに来たよ! ひそかに胸で呟きました。

 北原さんによれば、「納期を守らない」(苦笑)鴨沢さんを、1週間事務所に“缶詰”にして30年越しで描いてもらったという、少年と猫とおもちゃの絵(とても大きいのです)…遺作となった鴨沢さんのその作品がコーナーの最初にありました。涙が出そうになりました。

 設置してあったTVのビデオには、ほんのちょっとだけ鴨沢さんのお姿が。渋谷駅の短いのショットが映っていたので、渋谷で個展があったのでしょうか。残念ながら、わたしは鴨沢さんの展覧会には1度も行ったことがないのですが。(個展があったことすら知らなかったよ…)

 なつかしい富士急ハイランドのCMも流れていて。もちろんどれもクシー君をモチーフにした作品。実写版ですが、土星おじさんやビット君も登場していて、いま見ても楽しい。クシー君のヘアスタイルもちゃんとくりんくりんしてて。(笑)
 わたしが覚えているのは白いキラキラ感が好きだった「冬の熱帯夜」バージョン。(その絵コンテがメモリアルブックのなかもありました) でも、ほかにもあんなにたくさんの富士急ハイランドのクシー君CMがあったなんて。ついでにアニメバージョンのグリーン仁丹のCMもあったらなおよかったのにな、なんて思いましたけれども。

 なかなか仕事をしないことで有名な?鴨沢さんでしたが、英語の教科書や中学生向けの雑誌の表紙なんかも描いていたのですね。
 スケッチブックに鉛筆で描かれたクシー君やレプス君にはドキドキ。(鉛筆描きってどうしてこうもドキドキするんでしょう。普通のペンより“ナマ”な感じがするからでしょうか?)
 カラー画の校正刷りにかけられたトレーシングペーパー上に、赤で細かな指定が入っていたり。もちろん鴨沢さんの手書き文字だ~。

 使っていた定規やペン、マーカー、小さな額に飾られた愛犬の写真たち、愛読書だったことが見て取れる背のよれた宮沢賢治やタルホの本、ブリキのオモチャ、それに登山好きだったことを物語る愛用の帽子やピッケル、カメラ、ちょっとかわったかたちのiMac…。

 ふと目を落とした透明ケースのなか、手のひらサイズの小さな手帖に気がつきました。鉛筆で「北原様 ぼくの遺品を(略)よろしくお願いします」と、小さな文字で書かれてあって。鴨沢さんの死後それを見つけたとき、北原さんは泣いたそうです。(そりゃそうですよね…)
 鴨沢さんのいちばんの理解者と自負し、そして“納期を守らない”ためにつぎつぎ仕事をなくした鴨沢さんを、それでも見放さなかった北原さんですから。

 手帖の文字の日付は2005年となっていて。鴨沢さんはもうそのころから少しずつじぶんの“死”を意識していたんだろうか…と思うと、いまさらながら胸が痛いです。
 たまにブログにお邪魔すると、そんな気配があることをうすうす感じたこともありましたけれど、でもまさか、って思ってたのに…。
 じぶんの絶不調の時期と重なって、わたしは2008年冬に鴨沢さんが亡くなったことさえまるで知らずにいたのでしたが。

 鴨沢さんがいま生きていらしたら、この会場で北原さんとの対談が実現した可能性だってあったのに…そう思うと、ほんとうに残念でなりませんでした。
 でも、TVのビデオや会場の解説にもあったように、北原さんは鴨沢祐二美術館のオープンを計画しているそうです。ぜひ、ぜひ! お願いします! オープンしたら、もちろん駆けつけずにはいませんから!!

 ひとりで観てもなんら遜色ない映画や展覧会もあるけれど、今回の場合は、とても誰かと語りたい想いが強まってしまった展覧会でした。(クシー君やムットーニさんのことを一緒に語ってくれるヒトはなかなかいないのですが) あぁ、せめて友だちを誘って来たかった!

 そんな“語りたさの夕べ”を、昂まってしまったこころをクールダウンさせるべく、展望ラウンジで遅いランチ。それでも足りずにジェラートも。フレーバーは洋ナシとモンブランで。

 六本木ヒルズに来たのは初めてではないけれど、展望ラウンジには初めて。(余談、ここは屋上にも上がれるんですね。東京上空の風をじかに感じてみるのもイイかも)

10-10-10tokyo
 雨上がりの東京の街は、ちょっと幻想的に見えました。

10-10-10tokyotower
 東京タワーはカワイイな♪ (ケータイで撮ったら実際より遠く見える~。なぜよ?)
 スカイツリーも見えることは見えたのですが、ぼんやり雲のなかに霞んだままでした。

blogram投票ボタン

-2 Comments

Kiki says..."初めまして"
こんにちわ♪
Kikiと申します。

私も「北原照久の超驚愕現代アート展」に行って来ました。

そして、今ふと作品達を思い出していろいろ検索していたらnonaさんのブログに辿り着きました。

正直申しますと、鴨沢祐仁さんも武藤政彦さんも、名前は知っておりましたが、作品を見たのは初めてでした。

鴨沢さんの作品で、nanoさんが紹介している「少年と猫とおもちゃの絵」を観て…キャプションを読んで…
うまく言葉にできないのですが…

大切な人が苦しい状況にも関わらず
それを表に出さずに笑顔でいるとこをみたような…

何と言っていいのかわかりませんが、とても胸が苦しくなりました。

そしてnanoさんのブログを読ませていただいて、展覧会で感じた北原さんの作者への思いや、作品への気持ちなど、それ以上の深さをここで知りました。

私の思い出も深さを増したように思います。
nanoさんの鴨沢祐仁さんへの思い、武藤政彦さんへの思いがあってこそです。

本当にありがとうございました。
そして、再び「北原照久の超驚愕現代アート展」に足を運んでみようと思います!
2010.10.28 14:09 | URL | #- [edit]
nona says..."Re: 初めまして"
>kikiさん
はじめまして♪ ご訪問&コメントありがとうございます☆

北原さんというと、ブリキのおもちゃのコレクターとしてクローズアップされることが多いですが、
これだけ多彩に現代作家アートをコレクションされていて、その展覧会を催されたことは
ほんとに意義があることだと思います。
展覧会を観て、日本にもすばらしい作家がたくさんいるのだなとあらためて思いました。

わたしもうまくは言葉にできませんが、
kikiさんの感じた気持ちがわかるような気がします。

クシー君の明るい世界を見ていると想像もつかないのですが、
ある意味では、鴨沢さんは、自分の命を削るようにして
作品を描いていたのかもしれないと思うと…。

思い入れがたくさんあったせいかもしれませんが、
鴨沢さんの遺作となったあの絵の前で、わたしもいろいろ思うことがありました。

鴨沢さんにお会いすることはもう永遠にできないけれど、
鴨沢さんの作品に出会えたことはわたしにとっては宝物のようなものなのだと思ったりしました。

北原さんと武藤さんが対談されているなかで、鴨沢さんのお話も出て、
北原さんにしか語れない貴重なお話も聞かせて頂いたような気がします。

kikiさんのコメントを読ませて頂いて、ジンとしてしまいました。
ありがとうございました♪

できればもう1度展覧会に、と思いますが、それは叶いそうにありません。
その分、kikiさん、どうぞまた展覧会を楽しんできてください!
2010.10.28 21:03 | URL | #- [edit]

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://fantasium.blog4.fc2.com/tb.php/1049-3319fadc
該当の記事は見つかりませんでした。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。